中央通訊社は2020年の台湾の10大ニュースを選びました。重要ニュースから、今年の台湾を振り返ります。(対象期間:2020年1月1日~11月末)
1. 新型コロナウイルスの抑え込みに成功
新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、台湾は先手の対策が奏功し、抑え込みに成功しました。感染者数は797人、死者は7人にとどまっています(12月30日現在)。台湾プロ野球はコロナ後世界最速の4月12日に開幕しました。行政院(内閣)はコロナ禍で落ち込んだ経済の刺激策として、「振興三倍券」を発行。現金1000台湾元(約3600円)の支払いで、3000元分の「三倍券」と引き換えられる仕組みで、消費活動の活性化を図りました。これに合わせ、各省庁も農遊券や芸fun券、動滋券、客庄券、国内旅行補助など、各業界を支援する振興策を打ち出しました。2. 総統選 蔡総統が史上最多得票で再選
1月11日、第15代総統・副総統選挙と第10期立法委員(国会議員)選挙が同日実施されました。再選を目指す蔡英文(さいえいぶん)総統が史上最多の817万231票を獲得して当選を決めました。立法委員選では、民進党が113議席中61席を獲得し、安定多数を確保しました。その他の各党の獲得議席は国民党38席、台湾民衆党5席、時代力量3席、台湾基進1席、無所属5席となりました。
3. 高雄市長のリコール成立韓国瑜(かんこくゆ)高雄市長に対するリコール(解職請求)の是非を問う住民投票が6月6日に実施され、有効投票数96万4141票のうち賛成が93万9090票で97.4%を占め、リコールが成立しました。投票率は42.14%でした。行政院直轄市の市長がリコールされるのは台湾初となりました。8月15日に補選が実施され、民進党候補の陳其邁(ちんきまい)氏が当選しました。
4. 李登輝元総統死去李登輝元総統が7月30日、敗血症性ショックと多臓器不全で死去しました。97歳でした。10月7日、国防部(国防省)が所管する新北市汐止の五指山軍人墓地の特勲区に遺骨が埋葬されました。
李登輝元総統死去 日本とのゆかり深く/台湾5. ラクトパミン入り豚肉の輸入解禁発表
蔡英文総統は8月28日、国民の健康を保障するとの前提の下、輸入豚肉に対して成長促進剤「ラクトパミン」の許容値を定め、月齢30カ月以上の米国産牛肉の輸入を解禁すると発表しました。輸入緩和に関する規定は2021年1月1日に施行されます。
台湾、月齢30カ月以上の米牛肉の輸入解禁 ラクトパミン入り米豚肉の許容値設定
台湾、米国産豚肉のラクトパミン残留基準を設定 原産地表示も義務化へ
労働者が蔡政権に抗議 ラクトパミン使用の米豚輸入反対など/台湾
「ラクトパミン入り豚肉は輸入しません」 台湾の輸入業者が共同で声明
6. 軍ヘリ墜落、参謀総長ら8人が殉職
多目的軍用ヘリコプター「ブラックホーク」が1月2日、北東部・宜蘭東澳嶺に向かう途中、北部・新北市の山地に墜落し、制服組トップの沈一鳴参謀総長を含む8人が殉職しました。
7. 姦通罪廃止司法院大法官会議(憲法法廷)が5月29日、配偶者以外との性交渉を処罰する姦通罪を「違憲」だとする判断を下し、姦通罪について規定した刑法第239条が即日失効しました。同時に、「配偶者が告訴を撤回した場合でも、不倫相手にその効力は及ばない」との内容を規定した刑事訴訟法第239条のただし書きについても違憲の判断が下されました。大法官は、姦通罪は性的自己決定権を制限し、個人のプライバシーに干渉するものであり、それによってもたらされる不利益は公共の利益より大きく、憲法第23条が定める比例原則に合致しないとの見解を示しました。
8. 与野党の国会議員らが収賄で起訴
与野党の現職立法委員(国会議員)4人と元職の立法委員1人を含む計12人が9月21日、収賄の罪などで台湾台北地方検察署(地検)に起訴されました。台湾で展開する百貨店「SOGO」の経営権を奪回しようとした実業家に便宜を図り、その見返りに金銭を受け取ったとみられています。
台北地検、現職・元職の国会議員5人らを起訴=百貨店経営権巡る汚職事件
9. 米政府、台湾への武器売却を1年に6度承認
米国は今年、台湾への武器売却を6度にわたり承認しました。売却が承認されたのは、大型誘導魚雷「MK48」や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の更新、高機動ロケット砲システム「HIMARS」、空対地巡航ミサイル「SLAM-ER」、F16戦闘機用機外携行型センサーポッド、沿岸防衛システム無人機「MQ9B」、戦地情報通信システムなどです。総額は推定58億米ドル(約6005億円)に上ります。
米国、台湾への戦地情報通信システム売却を承認 トランプ政権下で11度目
10. 台湾株式市場、記録更新
台湾株式市場は7月27日、半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)の株価がストップ高まで上昇したことで、加権指数が30年ぶりに1万2682を上回り、1万2686まで上がりました。その後も最高値を更新し続け、12月30日の終値は1万4687.7と過去最高を更新しました。
台湾株式市場、30年ぶり最高値 TSMC上昇、米インテルから受注期待で
(編集:名切千絵)