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台湾初のネット専業銀行 楽天銀、日本の経験生かす 総経理インタビュー

2021/04/18 16:37
楽天国際商業銀行の佐伯和彦・総経理

楽天国際商業銀行の佐伯和彦・総経理

(台北中央社)台湾初のインターネット専業銀行が今年1月に誕生した。楽天グループが出資する「楽天国際商業銀行」だ。すでに数多くの銀行が競合する台湾で、新形態の銀行を根付かせることはできるのか。同業2行も開業を控えているが、佐伯和彦・総経理は、日本で蓄積された経験があるからこそ、台湾で受け入れられるサービスを提供できるはずだとの考えを示す。

2019年7月、ネット銀行の設立を申請した3陣営全てに認可が下りた。楽天とLINEバンク(連線商業銀行)、中華電信などからなるネクストバンク(将来商業銀行)で、楽天銀行はこれらに先駆け、今年1月、正式に開業した。

佐伯氏は日本のネット銀行の黎明期であった2000 年から、楽天銀行の前身「イーバンク銀行」で約20年、経験を積んできた。その佐伯氏は台湾について「金融機関に関するインフラは日本よりはるかに整っている」と評する。

佐伯氏によれば、各金融機関が資金取引を行うためのネットワークが台湾では非常によく整備されている。日本では時間的な制約などがある一方、台湾では「ほぼバリアフリー」で機能しているという。24時間利用できるATMはあちこちにあり、ネット銀行が店舗を持たずにビジネスを展開する環境は整っていると話す。

▽制約なく使えるはずの金融サービス それを阻む「昔流の壁」

だが、開業してから大きな「カルチャーショック」を受けた。口座開設の申し込みやサイトのアクセス数をモニタリングしていると、週末や夜にはガクッと落ちるのだ。その落差は日本よりずっと大きいという。「24時間365日、休みの日や夜中にも十分に金融サービスを使える状況にありながら台湾の人は使っていない」と嘆く。

その理由として、多くの人が伝統的な考えにとらわれているのではないかと指摘する。「金融サービスは平日の昼間に使うもの」という既成概念だ。人々のITリテラシーは高く、既存銀行のネットサービスも広く利用されている。だが、「昔流の壁」のようなものが頭の中にできあがっているのではないかと佐伯氏は推測する。

▽日本の経験生かし、台湾でも受け入れられるサービスを

台湾の人々にこの壁を打ち破ってもらうには、便利で使いやすいサービスを提供していくことが重要というのが佐伯氏の考えだ。「他人の悪口は言いたくない」と前置きしつつ、ある既存銀行のアプリについて「一言で言うと、使いにくい」と一刀両断。「歴史と伝統があるから、あらゆる機能が付いている」とその複雑さを指摘した。

「これをうちはやっちゃいけない」。理想に掲げるのはシンプルで、何も考えなくても利用したいサービスに自然とたどり着けるようなアプリだ。日本版は基本の型が初期設定としてありながら、よく使う機能を自由に編集できるようになっている。

ただ、日本でのやり方が台湾でもそのまま受け入れられるとは限らない。佐伯氏は、ローカライズとは「全てのものに対して、台湾の人が一番分かりやすく受け入れられるようにしていく」作業だと話す。商品開発では台湾人メンバーとも議論を重ねる。

開業前、一部メンバーは日本に赴き、ノウハウを吸収してきた。「日本が良いと言っているわけではない。ただ、われわれは成功失敗の膨大な経験がある。だからこそ、台湾の人々に受け入れられるサービスを効率よく提供できるはず。そこが最大の強みだと思っている」

▽群雄割拠の銀行市場 他行との「共存」目指す

競争が激しい台湾の銀行業界。だが佐伯氏は、伝統銀行と「共存できると思っている」と断言する。その理由をピザで例える。「店内でピザを出すレストランは近所に配達もする。これが伝統銀行。店舗を持たないデリバリーだけのピザ屋、これがネット銀行」。このうちどちらが勝つかということではなく、そもそも違うものだとし、顧客が時と場合によってどう使い分けるかがポイントだと力を込める。

さらに、他のネット銀行も新たな産業を台湾に根付かせるという意味では、共に盛り上げていく「同志」だと考える。ネット銀行が定着すれば、より便利な世の中になると日本で実感したからだ。日本の楽天銀行は今年1月、1000万口座を突破した。台湾のネット銀行には各社それぞれの強みがあるとし、それを生かしていくべきだと語った。利用者の選択肢が広がることで、産業全体の活性化が期待される。

(楊千慧)


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