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コロナ後世界初の対面型映画祭 台北映画祭の感染拡大防止策/台湾

2020/07/28 06:58
会場の入口付近に設けられた連絡先登録コーナー。スマートフォンでQRコードを読み取り、メッセンジャーを使って登録する方法が取られた(6月26日、中山堂で撮影)
会場の入口付近に設けられた連絡先登録コーナー。スマートフォンでQRコードを読み取り、メッセンジャーを使って登録する方法が取られた(6月26日、中山堂で撮影)

 「2020台北映画祭」(台北電影節)が6月25日から7月11日まで、台北市内で開催された。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後、対面型で映画祭が実施されるのは世界初となった。 新型コロナの影響で、台湾でも4、5月に予定されていた金馬ファンタスティック映画祭や台湾国際ドキュメンタリー映画祭が相次いで中止されるなどしており、台北映画祭も予定通りに実施されるのか見通しが不透明な状況だった。だが、台湾で4月12日以降、帰国者以外の新規感染が確認されていないのを受け、開催1カ月前の5月25日、開催が正式に発表された。 

 関連記事:台北映画祭、予定通り開催へ 海外の映画人は招かず 6月25日開幕/台湾

 開催発表時には、座席の間隔を空けてチケットを販売するなどの措置を取る方針が示されていたが、6月7日に台湾のコロナ対策本部に相当する中央感染症指揮センターによって集会開催時の人数制限が撤廃されたこともあり、最終的には座席は間隔を空けずに通常通り販売され、マスク終始着用と連絡先登録制、検温の措置のみが実施された。 

▽連絡先登録にメッセンジャー活用 

 連絡先登録のシステムには、フェイスブックのメッセンジャーが使用された。これは、フェイスブックの普及率が高い台湾だからこそなのではないかと感じた(注)。もちろん、フェイスブックを持っていない人や、急いでいる人にも対応できるよう、アナログ形式で表やチケットに連絡先を書く方式も併用された。記者は1本目を見る際は登録に手間取ってしまったが、2本目以降は比較的スムーズにできた。専用のスマートフォン用アプリを用意するのではなく、普段使っているアプリで事前に登録できるシステムが採用されたのは、観客にやさしい方式だといえるだろう。また、このシステムのおかげで、比較的スムーズに入場ができていたように見えた。 

 注:台湾網路資訊中心(TWNIC)の2019年のSNS利用に関する統計によれば、台湾でのフェイスブックの利用率は98.9%に上り、2位のインスタグラムの38.8%に圧倒的な差をつけてトップとなっている。

連絡先登録に使われたメッセンジャーの実際の登録画面
連絡先登録に使われたメッセンジャーの実際の登録画面
 また、収容人数600人規模(1階のみ開放の場合)の中山堂の会場では、マスク着用が徹底され、上映前にはスタッフがマスクをしていない観客に対して小まめに注意をしていた。
主会場の中山堂で、入場を待つ観客の列(7月5日撮影)
主会場の中山堂で、入場を待つ観客の列(7月5日撮影)
   正直なところ、開幕前には「こんなに観客を詰めて入れて大丈夫なのか」とやや心配だったが、始まってみると、観客もみな規定を守ってマスク着用状態で鑑賞していたことで不安はあまりなくなった。 
作品上映後のQ&Aも例年通り行われた(7月4日、信義威秀で撮影)
作品上映後のQ&Aも例年通り行われた(7月4日、信義威秀で撮影)

▽式典は一部オンラインに 「台北映画奨」授賞式は例年通り開催

 式典に関しては、世界の新鋭監督を対象とした「国際新監督コンペティション」の授賞式は海外からの参加ができないためにオンラインでの開催となったが、台湾映画を対象とした「台北映画奨」の授賞式は例年通り、台北市の中山堂で行われ、ノミネート作品の関係者らが一堂に会した。生中継の画面を通じて客席を見てみると、マスクを着用していない人のほうが多い印象だった。

  記者がいたプレスルームも、座席の配置は例年と変わらず一つの長テーブルに3席という配置で、社会的距離への特別な配慮はなかった。唯一異なったのは、プレスルームに入る際に検温があったことのみだ。

中山堂の2階に設置されたプレスルームの様子(7月11日撮影)
中山堂の2階に設置されたプレスルームの様子(7月11日撮影)
  今年の台北映画祭は、海外の映画人の招聘を取りやめたり、屋外での上映イベントを中止したりと、一部規模の縮小はあったが、上映自体に関しては例年と同様に実施された。この点は、やはり台湾が現時点でコロナの抑え込みに成功していることの大きな成果だと感じた。 世界でも、通常通り映画祭が開催できる日が一刻も早く訪れるよう願いたい。(名切千絵)
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