Menu 戻る
  • コラム

「悪との距離」が最多6部門受賞 台湾のテレビ番組賞 第54回金鐘奨

2019/10/17 05:46

台湾のテレビ番組の祭典「第54回ゴールデン・ベル・アワード」(電視金鐘奨)授賞式が10月5日、台北市の国父紀念館で行われ、今春放送されて話題を集めたドラマ「悪との距離」(我們与悪的距離)が最多6部門を受賞した。

▽「悪~」が前評判通りの強さ見せる

 「悪~」は無差別殺人事件を題材とし、加害者や被害者、支援者、メディアなど事件を取り巻く様々な立場の人々の異なる視点を通じて「悪との距離」を描いた作品。3月下旬に台湾で放送開始されると評判を呼び、高視聴率を記録した。

 今回の金鐘奨では12部門でノミネートされており、最終的には連続ドラマ部門で作品賞、主演女優賞、助演男女優賞、監督賞、脚本賞の6冠に輝いた。

最多6部門受賞した「悪との距離」のキャストとスタッフ

最多6部門受賞した「悪との距離」のキャストとスタッフ





「悪との距離」番宣映像(C-POP TV Youtube公式チャンネルより)

▽ミニドラマ・テレビ映画では「子供はあなたの所有物じゃない 猫の子」が最多受賞

 ミニドラマ・テレビ映画の候補作では、「子供はあなたの所有物じゃない 猫の子」(你的孩子不是你的孩子 猫的孩子)がテレビ映画作品賞、ミニドラマ・テレビ映画主演女優賞、同監督賞、同編集賞、美術デザイン賞の5部門を制した。

「子供はあなたの所有物じゃない 猫の子」の制作チーム

「子供はあなたの所有物じゃない 猫の子」の制作チーム

 同作は、親子関係を風刺したエッセイ「子供はあなたの所有物じゃない」(呉曉楽著)のうちの1つのエピソードをドラマ化。「猫の子」のほかにも、4つのエピソードがドラマとして制作、放送された。



「子供はあなたの所有物じゃない」予告編(公共テレビYoutube公式チャンネルより)

▽世界進出目指す台湾ドラマ 課題は資金調達

 今回多数受賞を果たした「悪~」と「子供は~」の両作はいずれも公共テレビ(公視)が製作に加わった。「悪~」はすでに日本で放送されているほか、米国での放送も決定。「子供は~」は米動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)を通じて世界各国に配信されており、両作品はともに海外進出の成功例でもある。

 「子供は~」の周毅銓プロデューサーは、台湾ドラマの世界進出について「能力がないのではなく、資金不足や既成概念の問題がある」と指摘。役者や制作陣には世界に通用する実力があるものの、「物語を世界の人に見てもらうためには、新たなビジネスモデルを見つけ出す必要がある。『台湾ドラマは低予算の割にはよく撮れている』と思われるのではなく、高規格な作品を目指さないといけない」と訴えた。

 公共テレビの於蓓華・番組部マネジャーは「台湾の制作チームはとても素晴らしい。だから各界には台湾ドラマに投資をしてほしい。より多くの資源が入ってきてこそ、より多様なジャンルの作品が作れる」と呼び掛けた。

▽連続ドラマ部門の俳優賞受賞者

主演男優賞 ロン・シャオホア(龍劭華)

 ヤクザの子から慈善団体のボランティアになった実在の人物の人生を基にした「菜頭梗的滋味」で、ヤクザの父親を演じた。

 金鐘奨受賞は、2013年にミニドラマ・テレビ映画部門主演男優賞を獲得して以来2度目。連続ドラマ部門での主演男優賞は6回目のノミネートにして初となった。

 プレスルームでは、「幸運がやっと私のところに回ってきた」と笑顔を見せた。

連続ドラマ部門主演男優賞を受賞し、トロフィーを高く掲げるロン・シャオホア

連続ドラマ部門主演男優賞を受賞し、トロフィーを高く掲げるロン・シャオホア



主演女優賞 アリッサ・チア(賈静雯)

 「悪との距離」で、無差別殺傷事件で子供を奪われたキャリアウーマンを演じた。

 アリッサは主に中国の作品に出演しており、金鐘奨は芸能界デビュー29年にして初受賞。ステージに上る前、客席に向かってガッツポーズをしてみせた。

授賞式のステージで笑顔を見せるアリッサ・チア

授賞式のステージで笑顔を見せるアリッサ・チア

「悪との距離」劇中写真(公共テレビ提供)左からウェン・シェンハオ、アリッサ・チア

「悪との距離」劇中写真(公共テレビ提供)左からウェン・シェンハオ、アリッサ・チア

 

助演男優賞 ウェン・シェンハオ(温昇豪)

 「悪との距離」で、無差別殺傷事件で子供を奪われた父親を演じた。

 「社交辞令ではなく、受賞するとは本当に思っていなかった。昨日の夜、『もし受賞できたら自分は一番幸福な人だ』と考えていた」と時折声を震わせながら神妙な面持ちで語った。

 金鐘奨は6回目のノミネート(連続ドラマ部門主演男優賞4回、同助演男優賞2回、今回含む)にして初受賞。

連続ドラマ部門助演男優賞の受賞スピーチをするウェン・シェンハオ

連続ドラマ部門助演男優賞の受賞スピーチをするウェン・シェンハオ

 

助演女優賞 ゾン・ペイツー(曽沛慈)

 「悪との距離」で、統合失調症を患った弟をサポートする姉を演じた。

「悪との距離」劇中写真(公共テレビ提供)ゾン・ペイツー(左)、統合失調症の弟を演じたリン・ジェーシー(林哲熹)

「悪との距離」劇中写真(公共テレビ提供)ゾン・ペイツー(左)、統合失調症の弟を演じたリン・ジェーシー(林哲熹)

 オーディション番組出身で、歌手と女優の二足のわらじを履いて活躍しているペイツー。歌手としてはこれまでに数々の賞を受賞しているが、演技での受賞は今回が初めて。受賞スピーチでは目をうるませ「私は歌が大好き。演技の世界に飛び込むことになったのは本当に思いがけないことでした」と歩んできた道を振り返り、共演者や関係者らに感謝を伝えた。 

連続ドラマ部門助演女優賞の受賞スピーチをするゾン・ペイツー

連続ドラマ部門助演女優賞の受賞スピーチをするゾン・ペイツー



新人俳優賞 リャン・シューハン(梁舒涵)

 海軍に入隊した新米女性兵士の奮闘と成長を描いた「女兵日記」で、新米兵士の一人を演じた。

 同作での親しみやすいキャラクターで人気を博し、一気に知名度を上げた。

連続ドラマ部門新人俳優賞を受賞し、プレスルームで笑顔を見せるリャン・シューハン

連続ドラマ部門新人俳優賞を受賞し、プレスルームで笑顔を見せるリャン・シューハン



▽助演男優賞候補の蔭山征彥は受賞ならず

 連続ドラマ部門助演男優賞には日本人俳優の蔭山征彦が「日據時代的十種生存法則」の演技でノミネートされていたが、受賞は逃した。役者部門での日本人のノミネートは2013年にミニドラマ・テレビ映画助演女優賞を受賞した大久保麻梨子以来6年ぶりだった。

「日據時代的十種生存法則」のキャストや監督ともにレッドカーペットに登場した蔭山征彦(左2)

「日據時代的十種生存法則」のキャストや監督ともにレッドカーペットに登場した蔭山征彦(左2)

 「日據~」は日本統治時代に活躍した作家、頼和の文学作品5作品を翻案した作品。当時の日本の警察が高圧的に取り締まりを行う中で、なんとか生き抜こうとする台湾の庶民の姿を描いた。蔭山は、台湾人も日本国民の一員だとして思いやりを持って接する自身の信条と、台湾人を人間と思わない上司との狭間で葛藤する日本警察を演じた。作品中では流暢な客家語も披露している。



 客家劇場「日據時代的十種生存法則」Ep01(客家テレビYoutube公式チャンネルより)

 同アワードは台湾制作のドラマからバラエティー、生活、紀行、子供向けなどまで幅広いジャンルの番組やその出演者、制作者らを表彰している。今年は39部門で争われ、計1995件の応募があった。(名切千絵)

 


Share on Facebook  Share on plurk  Share on twitter  Share by email  Share on LINE
Top