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  • コラム

台中に新しい風を 地域一丸で地元ブランドを発信(後)

2018/03/08 05:03

前編:日本統治時代から現代へ 新旧融合した台中を巡る(前)

▽クリエイティブ産業で地域活性化へ 地元の職人らを後押し

台中の地元のクリエイターや職人らを後押ししようと、消費者と職人、作品を結び付ける場を提供する取り組みも進められている。

かつての台湾省政府下では審計処(会計検査院が直轄市に置く拠点)の職員宿舎だった建物を再活用し、創業基地として生まれ変わった「審計新村」では毎月第3週目の土日、クリエイティブマーケット「小蝸牛市集」(ロールマーケット)が開催される。

「小蝸牛市集」

「小蝸牛市集」

運営するのは呂紹ヨさんと陳ネイ翔さん。2人ともまだ20代半ばという若さだ。近隣の中興大学で景観デザインを専攻していた2人は、在学中の2013年、当時は放置されていた審計新村を教授と訪れたのをきっかけに、同エリアの活性化に乗り出した。(ヨ=女へんに予、ネイ=寧の下半分が用)

もともとクリエイティブ産業に興味があったと話す呂さん。しかし「商品そのもののが好きというよりも、商品を通じた人と人のコミュニケーションが好き」とマーケットを運営する理由を語る。

「小蝸牛市集」運営者の呂紹ヨさん(右)と陳ネイ翔さん

「小蝸牛市集」運営者の呂紹ヨさん(右)と陳ネイ翔さん

定期開催を始めたのは2014年5月。当初は出展者の申し込みが少なく、20ブースほどしかなかったが、現在では80ブースほどに成長。出展者は日にちごとに毎回変更され、1回当たり200~300件ほどの申し込みがあるほどの人気だという。出展者は理念や独自のアイデアがあることなどの基準で選ばれる。

販売されるのはグルメや環境に優しい農作物、ハンドメイド商品など。ブランドがコラボレーションして一緒にものづくりをするという職人交流も行なわれている。出展者は女性が多く、台湾だけでなく日本や香港から出展に来る人もいるという。来場者数は1日1万~1万5000人に上る。記者が訪れた日も、多くの若者でごった返していた。写真は屏東産のカカオ豆を使った台中霧峰のチョコレートブランド「巧遇農情CHOMEET」。

販売されるのはグルメや環境に優しい農作物、ハンドメイド商品など。ブランドがコラボレーションして一緒にものづくりをするという職人交流も行なわれている。出展者は女性が多く、台湾だけでなく日本や香港から出展に来る人もいるという。来場者数は1日1万~1万5000人に上る。記者が訪れた日も、多くの若者でごった返していた。写真は屏東産のカカオ豆を使った台中霧峰のチョコレートブランド「巧遇農情CHOMEET」。

現在は審計新村のほか、第1週目の週末には日本統治時代に建設された武道場「刑務所演武場」の敷地内でも開催されている。今後は講座を開き、申し込んでも選ばれなかった出展希望者を対象に、商品をより良くするための支援をするほか、各ブランドの物語などを動画を合わせて紹介、商品を販売するホームページを開設予定。ホームページは今年上半期の公開を目指すという。

「審計新村」の各建築物には、マーケットとは別に常設の店舗が入居している。

「審計新村」の各建築物には、マーケットとは別に常設の店舗が入居している。

一部のホテルはクリエイティブ商品を紹介するプラットフォームとしての役割を果たしている。台中の観光スポット「草悟道」から徒歩圏内にある「緑宿行旅」(グリーンホテル)や「承億文旅 台中鳥日子」(ホテルデイプラス台中)は、台中の職人やクリエイターらの商品を展示するスペースをロビーに設置。展示されるブランドは資訊工業策進会から推薦されたものの中から、ホテル側が選んだ。同策進会の担当者は「小規模な業者は大きなホテルと独自で提携するのが難しく、業者自身もターゲットが分かっていない。だからこそ、みんなで協力したい」と話す。作品の近くにはQRコードが設置されており、興味がある人により詳しい店の情報を手に入れてもらえるような仕組みも取り入れられている。

「緑宿行旅」に設置された台中ブランドを紹介するスペース

「緑宿行旅」に設置された台中ブランドを紹介するスペース

30代のデザイナー3人で立ち上げたアクセサリー店「Chichic七シツ」では、台湾のデザイナーが製作した作品を販売する。3人は台南芸術大学研究所(大学院)の先輩と後輩。その一人、蘇筱テイさんは「台湾には優秀なクリエイターがたくさんいる。でもあまり知られていない」と話す。そのため、作品を紹介する場として2014年に店をオープンさせた。店内で販売される作品はすべて1点もの。シルバーアクセサリーの手作り体験も行っている。(シツ=「さんずいに七」の下に木、テイ=女へんに亭)

「Chichic七シツ」の蘇筱テイさん(中央)ら3人

「Chichic七シツ」の蘇筱テイさん(中央)ら3人

▽自由な発想で特色ある店づくり

西区の模範街エリアには、特色がある小さな店が点在する。雑貨店「Kerkerland」では、未来に手紙を送れるタイムカプセルならぬ「タイム引き出し」のサービスを提供。店内に設置されている引き出しには10年後までの年月が振り分けられ、配達を希望する月の引き出しに入れれば、その時期に手紙が届けられるという仕組み。開始したきっかけは、客からの「未来に送ってほしい」とのリクエスト。サービスは好評で、すでに満タンになっている引き出しもあるという。

「Kerkerland」の「タイム引き出し」

「Kerkerland」の「タイム引き出し」

カフェ「Coffee Stopover」は、来店客一人ひとりに好みに合ったおいしいコーヒーを味わってもらおうと、カスタマイズに力を注ぐ。豆の焙煎度や処理法を選択できるほか、牛乳を入れる場合は、その量まで選べる。エスプレッソにお茶を加えたメニューや、漢方薬入りのコーヒーなど珍しい商品もそろう。

記者が最も驚いたのは「分解キャラメルマキアート」。一言で表現すればキャラメルマキアート味のかき氷なのだが、泡状のエスプレッソがミルクかき氷の上にかけられ、その上にはキャラメルビスケット、かき氷の下にはバニラアイスが隠されるという手の込みよう。コーヒーにこだわる同店だからこそできるメニューだと感じた。

記者が最も驚いたのは「分解キャラメルマキアート」。一言で表現すればキャラメルマキアート味のかき氷なのだが、泡状のエスプレッソがミルクかき氷の上にかけられ、その上にはキャラメルビスケット、かき氷の下にはバニラアイスが隠されるという手の込みよう。コーヒーにこだわる同店だからこそできるメニューだと感じた。

カフェ「Roundabout cafe」は英国留学経験のあるジョリンさんらが営む英国風カフェ。留学中、温かい食事が恋しかった経験から、店内での食事メニューは温かいものを提供する。自慢の「老媽燉牛肉飯」(おふくろ風煮込み牛肉ライスは牛肉が口の中でほろっととろけるほどしっかり煮込まれており、カフェではなかなかお目にかかれない一品。 

「Roundabout cafe」自慢の「老媽燉牛肉飯」

「Roundabout cafe」自慢の「老媽燉牛肉飯」

食の安全への関心の高まりを受け、独学でベーグル作りを学んだという店主が営む「模範貝果」。天然素材にこだわっており、ふわふわもちもちのベーグルは噛むとしっかりと小麦の甘みが感じられる素朴な味わい。地元の若い小規模農家が生産するタロイモを使ったベーグルやドリンクもあり、地産地消にも取り組んでいる。

「模範貝果」のメニュー

「模範貝果」のメニュー

▽DIYで世界に一つしかない台中土産を

今回の旅では自分で作品を手作りする「DIY」が体験できる店も訪れた。台湾ならではの作品を作れるのは「小食手感空間」。ミニチュアの食品サンプル作りができる店で、台湾の屋台でおなじみの台湾風フライドチキン(鶏排)やベビーカステラ(鶏蛋糕)、ライスホットドッグ(大腸包小腸)などに挑戦できる。

「小食手感空間」のミニチュア食品サンプル

「小食手感空間」のミニチュア食品サンプル

珍しいものでは、お香のDIYも。ハンドメイドのお香を販売する「馨心齋香品」では、円錐型のお香の手作り体験を実施。近年、台湾の寺廟では大気汚染の影響で香炉を減少または廃止する動きが広がっているが、同店のお香は家庭向け。健康に気を使う人がよく買っていくという。

「馨心齋香品」で手作りできるお香

「馨心齋香品」で手作りできるお香

今回、台中の小さな店をたくさん巡ってみて印象に残ったのは、どの店の店主も笑顔が素敵で、店や商品について紹介する時の表情がいきいきしていたこと。大きな情熱をひしひしと感じた。

台中市は昨年、人口で高雄市を抜いて台湾2位に成長。米民泊サイトが発表した今年のトレンド分析報告では、注目の旅行先の世界3位にランクインするなど、観光地としての注目度も高まっている。

熱意を持った人々の働きによって、台中がますます発展していくことに期待したい。

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花屋「小戸人家」では、ドライフラワーを使ったアレンジメントを制作(左)。茶葉店「無蔵茗茶」(右)では、阿里山や南投産のお茶のほか、花開いた姿が美しい「工芸茶」が販売される。

花屋「小戸人家」では、ドライフラワーを使ったアレンジメントを制作(左)。茶葉店「無蔵茗茶」(右)では、阿里山や南投産のお茶のほか、花開いた姿が美しい「工芸茶」が販売される。

(名切千絵)


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