イケメン4人組バンド「noovy」のインタビュー。後編は日本滞在中のエピソードを中心にお届けする。
(前編はhttp://japan.cna.com.tw/topic/column/201708090002.aspx)
▽知名度ほぼゼロからスタートした日本での活動について
noovyは知名度ほぼゼロの状態で来日後、首都圏を中心にライブハウスなどでライブ活動をスタート。SNSを通じて徐々に人気を拡大させていきながら、チラシ配りなどの地道な活動も続け、2月にリリースした1stシングル「KALEIDOSCOPE」はわずか1カ月で目標としていた販売枚数の1000枚を達成。4月には初のワンマンライブを成功させ、初のミニアルバム「ONE」を発売。5月以降は西日本や仙台など地方にも足を運び、精力的な活動を行ってきた。
――日本滞在中は地方にも行かれてますよね。印象に残っていることはありますか?
M 一番印象的なのは移動のことです。僕たちが乗ったのは高級ワンボックスカーじゃなくて、椅子にパイプが入っているバンで、座席がすごく固かったんです。
S ずっと背中を丸めてたんです。8時間もこんなふうに(背中を丸めてみせ)座ってました。
J 長いときでは10時間以上のときもありました。しかも車中泊で。公演が終わってから車に乗って、それから朝までです。
S 大阪から名古屋、そして東京に戻って。
J おまけにちょうどお尻のところに鉄パイプがあったから、何度も姿勢を変えたりして。
H 座席が狭かったから、足も閉じていないといけなかったり。
J しかもあの時は5月でとても暑かったんです。
M エアコンの調子が悪いときもあって。前方は涼しいのに後部座席は死ぬほど暑かったです。
S 各地ではおいしいものもたくさん食べました。(4人口々に)仙台では牛タン、広島ではもみじ饅頭、福岡では一蘭本店、大阪ではお好み焼き。
――食べられない日本の食べ物はありますか?
(4人一斉に即答で)納豆!
M (日本語で)ムリムリムリ~。
H 全然食べられないよ!
S 前は食べたことがなかったから、大戸屋に行ったときに注文してみたんです。本当に無理でした~。
――日本では4人で暮らしていたんですよね。料理は作っていましたか?
M 滞在最初の3カ月のときは「僕がシェフになるから」って言ってたんですが、でもあとで(食材が)高いって分かって。しかも皿洗いは面倒だし。おまけに忙しくて家に着くのが12時以降になることも多かったので、結局作っていたのは1週間だけです。
――いつもは何を食べていたんですか?
H 松屋です。
S ほとんど毎日ですね。
――4月には初めてワンマンライブを成功させました。その時の気持ちを聞かせてください。J 満足感がありました。
M 感動しました。
J 地に足が付いたような満足感でした。
S もう1回ライブをやりたくなりました。みんな僕たちとのやりとりを楽しんでくれて。今まで感じたことのない気持ちになりました
――観客は何人くらい来たんですか?
4人 200人ぐらいです。
――お客さんは女性が多いですか?
S 女性のほうが多いです。でも男性のファンもほしいと思っています。
J 男性のファンが来てくれた時はうれしいですね。
H しかも僕らの男性ファンはみんな優しいんです。
J 写真を撮るのが上手なファンがいて、すごくきれいに撮ってくれるんです。
S 台湾に帰る日に特製の写真集を作ってプレゼントしてくれました。
――日本のファンはみなさんにとってどんな存在ですか?
J 情熱的ですね。
H 一緒にノリノリになってくれるところが好きです。
S 手の振りとかがとても可愛いと思います。
――台湾のファンとは違いますか?
M 台湾のファンは比較的恥ずかしがり屋だと思います。保守的です。
J 台湾のファンにも手の振りを広められればと思っています。
――ライブでは小芝居もやっているそうですね。
J 前に一度やったことがあります。
H 初のワンマンライブの時に。
J ライブでは音楽を披露するだけでなくて、観客にさらなるサプライズを与えたいんです。なので、いろんな要素を加えようと試みています。前は体操をしてみたし、ライブ全体をミュージカルのようにしたこともあります。
S バンドを見に来るというだけではなく、完全な“パフォーマンス”を見てほしいんです。
H それにファンの中には毎回公演を見に来てくれる人もいるので、毎回同じだと思ってほしくないんです。なので、変化を加えて、新鮮さを感じてもらえるよう心掛けています。
J ほとんど毎回今までとは違うものを取り入れています。
――演技にも挑戦していきたいですか?
S 機会があったらもちろん挑戦したいです。
J 興味はあります。映画でもドラマでも機会があるなら。
――日本ででもいいですか?
J いいです。
S (日本語で)でも日本語ちょっと…。ハハハ。
M チョットヘタデス…。
――コラボレーションしたいアーティストはいますか?(4人口々に)ONE OK ROCK、リンキン・パーク。
J 日本じゃなくてもいいですか?ジェイ・チョウ(周杰倫)です。ジェイは僕の神様。
――どんなふうにコラボしたいですか?
J もし一緒に1曲作れたら最高ですね。僕にとってジェイは憧れの存在なので、どんな形であっても一緒にできればうれしいです。
――自分で曲も作ってるんですか?
J 最近は頻繁に作曲してます。電子音楽寄りのが多いですね。
▽日本滞在中のエピソード――日本滞在中に恋しかったものは何ですか?
H 家族ですね。
S 母親の手料理です。
M 家族、それから友達。
H その次が食事。家族、友達、食事で食事は最後です。
――ご家族は日本には来なかったんですか?
S 僕の家族はライブを見にきてくれました。台湾のカップラーメンをたくさん買ってきてくれました。疲れれば疲れるほど家族が恋しくなります。
H ベッドに入った時に「ああ、いま家族と一緒にいられたらどんなによかっただろう」って。母親が温かい食べ物を運んできてくれたらなぁと。
J しかも旧正月も日本で過ごしたんです。
S 居酒屋で。
M あのときは本当に悲しかったです。
H スタッフは旧正月と知っていたから食事に連れていってくれたんですが、でも心の中では家が恋しかったです。
S それに旧正月を家族と過ごせないことはほとんどないですから。
M 今まで一度もなかったです。
J 初めて。
H 家族とメッセージを送り合ってました。
S (Markに向かって)お年玉を気にしてた?
M そうだね。…って違うよ―!家族を思ってたんだって。
――長期滞在する前と後で日本への印象は変わりましたか?
S 長期滞在前は日本はアニメみたいなところで、毎日楽しそうって思っていました。
M サムライが街を走ってるのかなって。
H 忍者がいるのを期待してた。
M 僕も忍者がいると思ってた。
S 期待でいっぱいでした。毎日新鮮で。
J 「こち亀」みたいな感じ。
S そうそう。本当にアニメのような世界。電車に乗ったりするのも新鮮でした。
M 道歩く人を観察したり、街頭の文化を観察したり。
S でも長く住むと慣れてそんなに特別感はなくなりました。
――どうやって日本語を学びましたか?
S 語学学校に行ったことがあります。
J 会社が4人一緒に授業を受けさせてくれました。
S 僕はバンドを組んだ後、みんなで授業を受ける前に自分で日本語を習いに行っていました。
――好きな日本語はなんですか?
M 「ヤバイ」が好きです。日本人がこの言葉を話すのは可愛い。飲み物をこぼしたりして「ヤバイヤバイヤバイ」って言ったりするのが可愛いです。
S 僕は「どうしようかな~」が好き。
H ちょっと悩んでる感じだね。
S (身悶えながら)あーっ、可愛いーっ!
J 僕は「もしもし」。
H 「イケメン」。言われると嬉しいです。
S 「つけめん」でもうれしいね。(笑)
――日本にいたときはお休みはありましたか?4人 少ないですね。
H 1カ月に1回くらい。
J 何も仕事がないのは1日だけで、半日休みの時は午後にチラシ配りに行っていました。今回、CDを売るのは容易ではなかったので、プレッシャーもありました。なので、休みの日は街でチラシを配りました。1日5~6時間とか。
――じゃあ遊びには行けなかったんですか?
H 滞在最後の月の最後の週に1日だけ自由時間がありました。
S 僕は鎌倉と江ノ島に行きました。大仏も見ました。
J 僕は家族のプレゼントを買いに行きました。その後はスタバで音楽を録音してました。
H 僕はディズニー。
――誰と行ったんですか?
H 自分一人で。(笑)
M 超孤独だよ~。
S 他人ながら恥ずかしいよ。ジェットコースターも一人なんだよ。
J しかも一人だから申し訳なくて絶叫できなかったって。
M そして夜は楽しそうに帰ってきました。
J でも心の中では切なそうだったよ。
M しかも「ディズニーでファンに会ったよ」って。
H そうなんです。ファンに会いました。
――台湾にいるときもよく一人で遊びに行くんですか?
H わりとよく一人で出かけますね。
J 一人で出かけるのはとても気分がいいと思います。自由自在で。
H でも台湾だったら友達と一緒のことが多いですね。
M 僕は池袋でドラムの練習をしてました。
――いちばん真面目ですね。
M 真面目なんじゃないです。たまたま遊びに行きたくなかっただけで。
H 夜、家に帰ってきて「ディズニー行ってきた」ってMarkに言ったら、Markは「ディズニー行くのになんで誘ってくれなかったんだー!」ってちょっと怒ってました。
M そうだね。
▽日本人におススメの台湾の観光スポット
――日本の友だちが台湾に遊びに来たら、どこに連れて行きたいですか?MarkとShawnは台中出身ですよね?S (JK含め)僕ら3人は中部出身です。
J 僕のおすすめは台中の「勤美緑園道」。
M 「秋紅谷公園」(台中市)ですね。夜はきれいです。元々平地だったところを谷のように掘って作られていて。下にはレストランもあります。ペットを連れて散歩するのにもいいですね。
S 僕は苗栗出身なので、「龍騰断橋」(苗栗県)がおすすめです。とてもきれいです。M 僕は台中の豊原出身です。
S 小さいときは僕も「豊原排骨麺」(※豊原にある有名店)をよく食べに行っていました。路地の中にあって店内はギュウギュウ。
――おすすめですか?
M おすすめです。
S (日本語で)オススメ。
――子供の頃によく食べに行っていたんですか?
M いまも地元に帰った時に時間があったら食べに行きます。
――日本のファンが食べに行ったら会えるかもしれませんね。
M あるかもしれませんね。(店員の真似をしながら)「店長、2名様!」。自ら料理を運んで~。って違いますから。(笑)
――Hankは台北ですよね。台北でおすすめのところはありますか?
H 時間があるのであれば、「故宮博物院」がおすすめです。
――よく行くんですか?
H 毎年1回は行きますね。一番好きなのは「翠玉白菜」と「肉形石」。
M (Hankに対して)僕は実はまだ行ったことないんだ。連れて行ってくれる?
H 自分で行けよ。
――最後に目標を教えてください。J セルフプロデュースのアルバムを作りたいです。
S 自分たちだけで作詞作曲を手掛けて。
H それから日本武道館でnoovyだけのコンサートを開きたいです。「天下一武道会」を開きたい。(笑)
M 実はちょっとした理想があります。もし初めて武道館に立てたら、外で誰かが配っているチラシを全部もらってあげたいです。僕らも最初、そこでチラシを配ったので。来てくれたお客さんに、会場の外に出た時にチラシを受け取ってあげるよう呼び掛けられればと思っています。
J チラシ配りは本当に大変だったので。
M 特に冬。気温がマイナスのときもあって。
H 熱が出そうと思ったときもあった?
M 死にそうだと思った。冗談だよ。
――今後の活躍の主な拠点は日本ですか、台湾ですか?
S たぶんどちらも行ったり来たりします。
H より多くの都市、国に行ければ。
M 中国とか、もっと遠く、アメリカとか。
――たくさんの場所にライブに行きたいということですね。
J そうですね。
H ワールドツアーがしたいですね。
――全て日本語のアルバムを出したいと思いますか?
S 出したいです。だから僕らは頑張って日本語を勉強してます。暇があったら勉強して。本を買ったり、ユーチューブを見たり。日本のドラマも役立ちますね。
――ありがとうございました。
とてもフレンドリーにインタビューに答えてくれたnoovy。メンバーの言葉にほかのメンバーが茶々を入れ、話が脱線しそうになることも多々あり、仲の良さが伝わってきた。メンバー同士のやり取りを見ていると、まさに普通のイマドキの台湾の男の子たちといった雰囲気だが、音楽の話になると表情は真剣なものに一変。作品やライブに対する彼らの強く、熱い思いを感じた。日本メジャーデビューを通過点に、さらなる高みを目指すnoovy。今後の活躍に期待したい。
(名切千絵)