都会に暮らす男女の恋と愛を軽快なタッチで描いたミュージカル映画「52Hz, I Love You」。年齢も、取り巻く状況も、性的指向も異なる男女8人によって繰り広げられる恋愛模様が、思わず口ずさみたくなる音楽に乗せて表現され、観客を幸せな気分に包み込んでくれる作品。
監督は「海角七号 君想う、国境の南」や「KANO 1931海の向こうの甲子園」などを手掛けたウェイ・ダーション(魏徳聖)。現代の生活を題材にした物語は「海角七号」以来9年ぶりとなる。出演は人気バンド「宇宙人」のシャオユー(小玉)、「図騰楽団」のスミン(舒米恩)、「棉花糖」の小球、「小男孩」の米非、歌手のリー・チェンナー(李千娜)、女優のサンドリーナ・ピナ(張榕容)など。作品の舞台はバレンタインデーの台北。主要登場人物は恋人のいないアラサー男女、長年交際するも気持ちにすれ違いが生じているカップル、伴侶を求める中年男女、合同結婚式に参加しようとするレズビアンカップルと様々。そんな8人の物語がバレンタインデーに交錯していく。見どころはなんといっても、作品中にちりばめられる17曲の楽曲だろう。これらは李正帆、李王若涵、厳云農ら台湾の著名音楽家7人によって同作のために製作された。李氏と李王氏によると、全曲の作詞を担当した厳氏は2012年からウェイ監督と作業を進めており、曲と歌詞が全て揃ってからキャスト選びが始められたという。主要キャストは歌手やバンドのボーカルなど実力派で揃えられ、感情豊かな歌声で観客を作品の世界に引き込んでいく。
また、作品中には海角七号のキャストや台湾の有名人らがチョイ役で多数出演しており、「あの人がこんなところに」というのを見つけるのも楽しみ方の一つ。柯文哲台北市長も市長役でゲスト出演しており、柯市長がスクリーンに登場すると、映画館では笑い声が上がっていた。台湾での興行収入は1月26日の公開から13日で3200万台湾元(約1億1800万円)を突破している。
(名切千絵)