台湾の権威ある音楽賞「ゴールデン・メロディー・アワード」(金曲奨)の第27回授賞式が6月25日に台北市の台北アリーナで開かれる。受賞者・曲の発表を前に、主要部門のノミネート者や作品について紹介する。今回は最優秀楽曲賞(最佳年度歌曲奨)を取り上げる。
◇不要放棄Aka pisawad(母語版)『太陽的孩子 Wawa No Cidal 映画サウンドトラック』/舒米恩工作室 歌手:スミン・ルピ(舒米恩・魯碧﹚
台湾原住民(先住民)アミ族の女性が故郷に戻り、集落の豊かな自然を守るため奔走する姿を描いた台湾映画「太陽的孩子」(太陽の子)の主題歌。タイトルの「不要放棄」とは「あきらめないで」という意味。優しいピアノの伴奏にスミンの伸びやかな歌声が響き、聴いた人を前向きな気持ちにさせてくれる。同曲は昨年発表された第52回「ゴールデン・ホース・アワード」(金馬奨)で最優秀映画オリジナル楽曲賞(最佳電影原創歌曲奨)を受賞している。
◇母系社会『AMIT2』/百代唱片 歌手:アミット(AMIT﹚アーメイ(張恵妹)による別名義プロジェクト「アミット」(阿密特、AMIT)のセカンドアルバム「AMIT2」の収録曲。女性の視点から生まれた曲で、伝統社会におけるジェンダーの問題の逆を行く考え方を提示し、女性のあり方に問いを投げかけている。アミット式ロックの曲調と大胆でストレートな歌詞、叫ぶような歌唱スタイルでメッセージを伝えている。「AMIT2」は今回の金曲奨で計6部門にノミネートされた。
◇不為誰而作的歌『実験アルバム 和自己対話』/華納国際音楽 歌手:リン・ジュンジエ(JJ、林俊傑)リン・ジュンジエが昨年末にリリースした実験的アルバム「和自己対話」のリード曲。これまでの人生で自身を助けてくれた全ての人々への感謝の思いがメッセージに込められており、レコーディングはシンガポールにある総合芸術文化施設「エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ」で、40人近くのオーケストラを従えて行われた。タイトルの「誰かのために作ったのではない歌」が示すように、感情あふれる歌声で、JJ自身が心の底の声をまっすぐに伝えている。
◇下雨的夜晚『冬 未了』/環球国際唱片 歌手:ソーダグリーン(蘇打緑)ソーダグリーンがドイツの交響楽団とコラボレーションし、初めて同時録音で製作したアルバム「冬 未了」の収録曲。ミュージックビデオは東ベルリンの音楽ホールで交響楽団とともに演奏したライブ映像が使われている。歌詞には心に傷を負った人への慰めのメッセージが込められ、交響楽団が奏でる優雅な音楽とボーカルのチンフォン(青峯)の透明感のある歌声が、人々にそっと寄り添う。
◇小幸運『我的少女時代』/華研国際音楽 歌手:ヒビ(Hebe、田馥甄﹚昨年、大ヒットを記録した台湾映画「私の少女時代」(我的少女時代)の主題歌。青春時代の切ない恋愛の記憶を歌い、カラオケの人気ソングとなっている。同曲のミュージックビデオは動画共有サイト「ユーチューブ」での再生数は6月15日現在、8657万回を突破しており、2015年最大のヒット曲といっても過言ではない。昨年の第52回金馬奨で最優秀映画オリジナル楽曲賞にノミネートされたが、「不要放棄」に敗れ、惜しくも受賞は逃した。