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  • 社会

台湾プロ野球を裏で支え続ける グラブ製造メーカー創業者・張順進さん

2019/02/01 11:41
グラブ製造メーカー「ツインタワー」の創業者、張順進さん=文化総会提供

グラブ製造メーカー「ツインタワー」の創業者、張順進さん=文化総会提供

(台北 1日 中央社)今年で30年を迎える台湾のプロ野球を裏で支え続けてきたグラブ製造メーカー創業者、張順進さん(63)が、伝統を守り続ける職人にスポットを当てたドキュメンタリーフィルム「匠人魂」シリーズの最新作「九回裏」に取り上げられた。作品はインターネットで公開されている。

台湾でプロ野球リーグが発足したのは1989年。当時の球団では、野球用品は全て日本から購入しなければならず、グラブも例外ではなかった。張さんは同年、全ての選手が品質の良い、合理的な価格のグラブを使えるようにと、台湾製グラブの研究開発に取り組み始めた。日本プロ野球向けにグラブを作っていたベテラン職人に教えを乞い、90年に南部・台南にグラブ製造メーカー「ツインタワー」の工場を建設。97年には日本の野球用品メーカー「ハタケヤマ」と提携して技術を格段に向上させ、日本製にも引けを取らない品質を誇る唯一の台湾メーカーに育て上げた。

張さんは選手らの意見に耳を傾けながら調整を繰り返し、指を短く横幅を広くすることで素早い打球処理や送球が可能になる二塁手・遊撃手向け、指を長くして捕球面積を大きくした外野手向けなど、守備位置ごとに違う需要に対応できるグラブを編み出してきた。張さんの技術を高く評価した日本のミズノや米国のナイキなど、世界的なスポーツ用品メーカーからOEM(相手先ブランドによる生産)の話も持ち込まれたが全て断り、自社ブランドにこだわり続けた。

30年の間には、事業が低迷期を迎えたこともあった。一時期観戦チケットがなかなか手に入らないほどだったという台湾のプロ野球人気は、90年代後半から相次いで起きた八百長事件をきっかけに下り坂に。加えて、中小企業の海外移転に伴って野球用品市場が急速に萎縮したほか、自身も工場経営で苦しんだ張さんは、「台湾最高峰・玉山の山頂を極める直前に転落したようだった」と振り返り、初心である「一生懸命」という言葉に支えられ、苦境を乗り切ってきたと話す。

「全ての野球少年にいいグラブを使ってほしい。海外で活躍する全ての台湾人選手に、故郷のグラブを使って輝いてほしい」

そんな思いを込めて、張さんは今日もメードイン台湾のグラブに情熱を注ぎ続けている。

匠人魂シリーズは台湾の非政府組織(NGO)、中華文化総会が制作する3~5分間の映像作品で、2017年夏からこれまでに計15作品が公開されている。

(鄭景ブン/編集:塚越西穂)


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