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iPhoneで全編撮影 台湾映画の新たな挑戦 「怪胎」監督インタビュー

2020/08/13 17:23
リャオ・ミンイー監督=牽猴子整合行銷提供

リャオ・ミンイー監督=牽猴子整合行銷提供

(台北中央社)米アップル社のスマートフォン「iPhone」(アイフォーン)で全編撮影された台湾映画「怪胎」は、7日の台湾での公開から4日間で興行収入700万台湾元(約2535万円)を突破した。監督、撮影、脚本、編集の4役をこなしたリャオ・ミンイー(廖明毅)監督は12日までに中央社の単独インタビューに応じ、作品の成り立ちなどについて語った。

同作は、深刻な強迫性障害(OCD)を持つ青年がある日、同じ障害を抱える女性に偶然出会い、恋愛関係になるものの、青年の障害が突然消え去ったことで2人の関係に次第に変化が生じていく―という物語。タイトルの「怪胎」とは、「変わり者」を意味する。青年をリン・ボーホン(林柏宏)が、相手役の女性をニッキー・シエ(謝欣穎)が演じる。iPhoneで全編が撮影されるのは、長編の台湾映画では初めて。

「愛情関係においてどちらかが変わってしまった」という変わり目を描きたいというのが最初の思いだったと説明するリャオ監督。そんな中、OCDを恋愛の形のメタファーとするアイデアを思い付いた。家で一人で待つやるせなさであれ、関係の変化に対する無力感であれ、OCDという枠の中で、OCDを持たない人や恋愛経験がない人にも「OCDじゃないけれど理解できる」、愛情の世界ではみんな「変わり者」だと身を持って感じてほしいとリャオ監督は語る。

同作の撮影プロジェクトの始まりは2018年にさかのぼる。リャオ監督は、挑戦をいとわない音楽レーベル「チーム・イヤ・ミュージック」(添翼創越工作室)と出会い、歌手のクラウド・ルーのミュージックビデオ(MV)「明仔載」をiPhoneによる撮影で制作した。同MVに対する反応は良好だったものの、映画の製作準備を始めて2カ月が経ったころ、自分以外のスタッフや出資者は作品がどのような出来栄えになるのか頭の中に描けていないことに気が付いた。

「駄作にはならないとみんな思っていたけれど、私以外のみんなはどの程度の作品になるのか、どんな仕上がりになるのか分かっていなかった。だから、自分たちがどのくらいまでやれるのかみんなに伝える義務があると思った」とリャオ監督は笑う。

そこで制作されたのが、短編「停車」(PARKING)だ。自分が納得がいくまで駐車の動作を繰り返すOCDの医師を描いた。わずか4分間の作品ながら、モバイル端末で撮影した作品を対象にした映像コンテスト「フィルミックフェスト」で昨年、1500本を超える作品の中からグランプリに選ばれた。

「怪胎」で複数の役割を担ったリャオ監督は「自分を映画の中にできるだけ残したい。別の人の成分をできるだけ少なくすることで、より自分らしい作品になる」と率直に話す。iPhoneを長年研究してきたのは長編作品を撮るためだったため、別のカメラマンに撮影を依頼するのは変だと考え、自ら撮影を担当した。編集については、編集者それぞれのタッチを表現できる部分であるため、機会を逃したくなかったと明かし、作品づくりへの熱い思いをのぞかせた。

(王心妤/編集:名切千絵)


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